妄想小説Walk第102話
会議室で話をし終えてから、先に部屋を出ていく部長を見送ると、入れ替わるように有岡くん、髙木くん、八乙女くんがなだれ込むように部屋に入ってきた。
「どうだった?」
有岡くんが心配そうにそう言う。
「これからも働けることになった!」
「そっか!よかった・・・」
私の言葉に有岡くんはホッとしたようにそう言って笑った。
とりあえず、会社にはそのまま残れることになった。
会社に出させてしまった損害は給料から差し引いて少しずつ返していくことになるけど、会社を辞めずに済んで本当にホッとした。
「今日久々に飲みに行くか?」
髙木くんが言う。
「いいね!行こう!」
八乙女くんもノリノリだ。
「行きましょう!ね!まゆみさん!」
「うん!」
有岡くんの言葉に私もうなずく。
「じゃ店予約しとくわ」
髙木くんはそう言いながら会議室のドアを開け、颯爽と仕事に戻っていった。
「ありがとう!」
そんな髙木くんの後姿にお礼を言う私。
「あいつかっけーな」
八乙女くんも髙木くんの後姿を見てそういい、
「俺も仕事しよ」
と言って歩き出す。
有岡くんも八乙女くんに続いて歩き出そうとしたが、急に立ち止まると、私の方を見てにこーーーっとキラキラの笑顔を見せる。
私もつられて笑顔になる。
それを見て有岡くんは満足げにうんうんとうなずきながら仕事に戻る。
・・・かわいい・・・可愛すぎる・・・・
私は有岡くんの可愛さにクラクラしながらも何とか気持ちを切り替えて仕事に戻ったのだった。
仕事が終わった私たちは、髙木くんが予約してくれたおしゃれなお店の個室で久々に飲んでいる。
4人で飲むのは本当に久しぶりで!
本当に楽しくて!
私も少し飲み過ぎてしまっていたけれど、有岡くんもいつもよりお酒を飲むペースが早くなっているように思う。
有岡くんもきっと、この4人でいる時間が好きなんだな。
ものすごく楽しそうだ。
そんな有岡くんを見ていると、私は何だか微笑ましい気持ちになった。
「髙木さん!八乙女さん!実はお二人に大事な報告があります!」
突然。有岡くんがそんなことを言いだした。
「お!何だ何だ?」
髙木くんはなぜか嬉しそうだ。
「?」
八乙女くんはよくわかっていない。
「実は・・・俺たち・・・」
有岡くんはそう言って私の方を見て微笑み
「付き合うことになりました!」
髙木くんと八乙女くんにそう告げる。
「お!おめでとう!」
「おめでとう!」
髙木くん、八乙女くんはそう言うと笑顔で私たちに向かって拍手してくれた。
嬉しいけど、ちょっと照れる・・・♪
「ありがとうございます!」
有岡くんは自分から報告したにも関わらず、恥ずかしかったのか、顔が赤くなっている。
「お、俺、ちょっとトイレ」
そして、耐え切れなくなったのか、そう言って席を立った。
・・・可愛い。
そんな、顔を真っ赤にして照れている姿も愛おしくてたまらない。
「あいつ、照れてんな(笑)」
有岡くんの後姿を見て髙木くんがそう言って笑う。
「うん、そうだね(笑)」
私もとても照れてしまうけど、髙木くんと八乙女くんにちゃんと報告しようって思ってくれた有岡くんの気持ちがすごく嬉しかった。
「まゆみさんが自宅謹慎になった日があったでしょ?」
ふいに、八乙女くんが口を開く。
「うん」
「実はあの日、俺と髙木でまゆみさん家に行こうって話してたんだよ」
「えっそうなんだ」
「そうなの。でも有岡が「俺に行かせてくれませんか?」って言いだして」
えっ
「有岡くんが?」
「うん。「俺が一人で行きたいんです!お願いします!」って頭下げてさ」
「・・・」
「あいつなりにまゆみさんを支えたかったんだと思うよ」
有岡くん・・・
私は感動で胸がいっぱいになった。
「久しぶりに会ったけど、すげー幸せそうで安心したよ」
感動で何も言えない私に髙木くんがそう言い
「よかったな」
と優しく微笑んだ。
「・・・うん。ありがとう」
八乙女くんも髙木くんも優しい・・・
私は感動で涙が溢れそうなのを一生懸命こらえていた。
なのに。
「まゆみさん、ツヤツヤしてるよ」
八乙女くんがニヤニヤしながらそんな事を言いだす。
「シワシワだったのにな」
髙木くんもそう言ってニヤニヤ。
「シワシワ!?そんなに!?」
「シワシワって、誰が?」
驚きのあまりに私が叫んだ時、丁度有岡くんが戻ってきてそう言った。
「まゆみさん。ちょっと前までシワシワだったよな?」
髙木くんにそう言われて有岡くんはまじまじと私を見る。
そして。
「・・・確かに。シワシワがツヤツヤになった」
真面目な顔をしてそう言った。
「ちょっと!せめて有岡くんだけは否定してよ!(笑)」
「ごめんごめん(笑)」
私の言葉に、有岡くん、笑顔。
髙木くん、八乙女くんも。
こうやって、みんなで笑いあえる。
すごく素敵で、大切な時間。
私は、有岡くん、髙木くん、八乙女くんと一緒にいられて、本当に幸せだ。
こういう、何気ない幸せがこれから先もずっと続きますように・・・
そんな事を考えながら、ふと、有岡くんを見ると。
有岡くんも私の方を見ていて。
私たちはどちらからともなく笑いあった。
有岡くんなら、きっと大丈夫。
ずっと、有岡くんについて行こう。
これから先、ずっと。