妄想小説Walk2 エピソード27

私は椅子に座り、有岡くんの壊れたキーホルダーを直そうとしている。

それをじっと見つめる有岡くん。

 

・・・可愛いんだけど、ちょっと緊張する(笑)

 

気を取り直して深呼吸。

 

よし。

 

私は、有岡くんが取り付けた、よくわからないひもを外し、新しい留め具をキーホルダーにつけた。

あっという間に完成だ。

 

「へー!そうやって直すんだ!」

感心している有岡くん。

「簡単でしょ?」

私はそう言って直ったキーホルダーを有岡くんに手渡した。

有岡くんはそれをまじまじと見つめ

「ほえーーーーーすげーーーー元のよりきれいかも」

と、いろんな角度からキーホルダーを眺めている。

 

 

可愛い。

可愛すぎる。

 

 

「そう?」

「うん。すげー。また壊れたらまゆみに直してもらおー」

有岡くんはご満悦のようだ。

よかった。

有岡くんに喜んでもらえるのはめちゃくちゃ嬉しい。

 

 

 

 

 

 

「誰だろ」

そんな時。

有岡くんのスマホがLINEの着信音を鳴らした。

有岡くんはそう言ってそれを確認する。

 

「・・・山田だ。ねぇ、ゲームやっていい?」

どうやら山田さんからのオンラインゲームへのお誘いLINEのようだ(笑)

「いいよ(笑)」

「やった!」

有岡くんは嬉しそうにそう言うと、手際よくゲームの準備をし、ゲームをし始めた。

 

 

・・・随分手馴れてらっしゃる(笑)

 

 

私はゲームをしている有岡くんの姿を見るのも好きだ。

そんな姿を見せてくれる有岡くんにも感謝している。

 

しかし、今、私にはやるべきことがある。

師匠へ報告のLINEをしなくては。

 

私は、自分のスマホから知念さんとのLINEの画面を開いた。

 

”師匠。先ほど初めて有岡くんを「大貴」と呼んだところ、有岡くんのお鼻がひくひくしました”

 

私は、初めてのミッションの報告をこの文章から書き始めた。

そして、こういう状況で、こんな風に呼んでみたところ、有岡くんはこういう反応を示しました、というのを、なるべくわかりやすいように記載した。

 

 

私はちゃんとこなせたのだろうか。

ちょっと不安だけど、悪くはないんじゃないかと思っている。

 

 

 

 

 

しばらくして。

知念さんからお返事が届いた。

 

”よく出来ました。そのまま継続してください”

 

・・・やった!褒められた!!

 

”ただし、普段は「有岡くん」のまま。時々「大貴」と呼びましょう”

 

・・・普段は「有岡くん」、時々「大貴」・・・

 

”呼ぶ状況は今回と同じ感じでよいと思います”

 

・・・はい。師匠。

 

”ご報告、楽しみにしています”

 

・・・♪

 

”かしこまりました!ありがとうございます!!”

 

私は、知念さんにそう返信してスマホを閉じる。

 

 

 

初めてのミッション。

どうやら成功したみたいだ。

 

師匠に褒めていただけた♪

嬉しい♪

 

私は浮足立っていた。

 

 

 

有岡くんは相変わらずゲームに夢中だ。

 

ゲームをしている時の真剣なまなざし。

指さばき。

 

 

・・・好きだ(笑)

 

 

あー。

私は結局、有岡くんが大好きなんだな。

 

何度目かはわからないが、とにかく有岡くんの事が好きだ、と何度でも思ってしまう自分に呆れつつも、こんな日常を送れる幸せをかみしめながら、私は有岡くんの後姿とゲーム画面を見つめていた。

 

 

 

 

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