妄想小説Walk第52話

「圭人!お前彼女出来たんだって?」

 

翌日。ちょっと早めに出勤したら八乙女くんのそんな声が聞こえてきた。

 

「うん。実はそうなんだよね」

「マジかーお前いつの間にそんなに色気づいたんだよー」

 

声の聞こえてくる方をのぞくと、照れて笑う圭人くんの肩を組み、圭人くんのお腹のあたりをグーパンチしている八乙女くんがいた。

 

 

 

この2人、こんなに仲よかったんだ。

兄弟みたい。

 

 

 

「いやー本当、「サプライズ」だわ!」

 

八乙女くんが嬉しそうに言う。

 

いつも思うけど、八乙女くんの「サ」を強調する「サプライズ」のイントネーション、気になる(笑)

 

 

 

「まゆみさん おはよ!」

 

と思っていたら、後ろから有岡くんが現れた。

 

「おはよー有岡くん!昨日は本当、色々ありがとう」

 

昨日の事は感謝しかない。

 

「もう具合はよくなった?」

「うん!もう大丈夫」

 

有岡くんの問いに私が答えると、有岡くんは

 

「本当?」

 

と聞くので

 

「本当!」

 

と答えると

 

「よかった!無理すんなよ!」

 

有岡くんはにっこり笑ってそう言った。

 

「うん!ありがとう!」

 

 

 

 

どうしよう。

どれだけ好きにさせるつもりなのかしらこのお方は。

 

 

 

 

 

「あ。八乙女さんと圭人だ」

 

しれっと見とれていた私を現実に引き戻す有岡くんの一言。

 

そうだ。

いかんいかん、ここは会社だった。

 

「八乙女くんと言えば、「サプライズ」のイントネーションがいつも気になるんだよね(笑)」

「わかる!サプライズだよね!」

 

私の話を聞いて正しいイントネーションで言う有岡くん。

 

「そう(笑) 面白いから指摘したことはないけど(笑) 本当はサプライズだよ、って言いたい(笑) 」

「言えばいーじゃん(笑)」

 

有岡くんはそう言うと

 

「おーい!おはよー!」

 

と八乙女くんと圭人くんに向かって叫ぶ。

 

「あ、大ちゃんおはよー」

 

圭人くんは有岡くんの事を「大ちゃん」って呼ぶんだ・・・

へー・・・

 

 

「八乙女さん、何かびっくりすることあったの?」

 

おい(笑) 有岡(笑)

なんだその聞き方は(笑)

 

「そう!圭人がさー彼女出来たんだって!」

 

有岡くんの雑なフリなのに普通に返す八乙女くんもすごい(笑)

 

「そうなんだ!誰?」

「みゆきちゃん」

「マジかー!!それは驚くね!ねー!八乙女さん!」

 

そしてまた雑なフリをしてる有岡くん(笑)

 

「うん。「サプライズ」だったわー」

 

やっぱり普通に返せる八乙女くんはすごい(笑)

そんで

 

「「サプライズ」(笑)」

 

どうしても笑ってしまう。

八乙女くんのイントネーション(笑)

 

そんな私に有岡くんはわかりやすく目配せしてくる(笑)

「言え」って事ね(笑)

 

「八乙女くん、サプライズね」

「「サプライズ」でしょ?」

「サプライズ」

「サプライズ」

 

私の言い方をまねて言う八乙女くん。

何か可愛い(笑)

てか気を付けて言えば正しいイントネーションで言えるんだ(笑)

 

「もーいいじゃんどっちでもー」

 

八乙女くんは嬉しそうにそういいながら去っていった。

 

何やかんや言ってもいじられるの好きだよね。八乙女くんって(笑)

可愛いな(笑)

 

 

 

 

 

「お。まゆみさんおはよー。元気になったみたいだね」

 

入れ替わりで髙木くんがやってきた。

 

「おはよー髙木くん。うん、おかげさまで」

「おかげさまね」

 

髙木くんはそう言いながら私の隣で笑う有岡くんをちらっと見る。

そして

 

「よかった。」

 

というとニヤリとした。

 

 

 

 

・・・うん。

何が言いたいのかは何となくわかるけど、今はそのぐらいにしといて下さい。

 

「また飲みに行こうな」

「うん、そうだね」

 

髙木くんの言葉に私はうなづく。

 

 

・・・うん。

髙木くんが聞きたいであろうことはその時に話すね。

 

 

 

「え。俺も行きたい!」

 

と思ってたら急に有岡くんが割り込んできた。

 

「お前はダメだよ」

 

断る髙木くん(笑)

 

「何で!?いつも2人で行ってずるいよー」

 

可愛い(笑)

 

「ずるくねーよ(笑) 何?有岡、お前やいてんの?すねてんの?」

 

え。髙木くん何言ってんの

 

「えっうん。最近飲んでないし、たまには仲間に入れて欲しいなって思って・・・」

 

だんだんごにょごにょしだす有岡くん(笑)

それを見て髙木くんが

 

「そっか!じゃ今度一緒に行こうな」

 

というと

 

「はい!」

 

と有岡くんも嬉しそうに笑った。

 

「たまには3人で飲むのもいいかもな」

「でしょ?まゆみさんの体調が完全によくなったらすぐ行こう!」

「うん!」

 

私の体調まで気遣ってくれる有岡くん、優しいな♪

3人で飲むの、楽しみだ♪

 

 

 

 

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