妄想小説Walk2 エピソード30

私は今、自分のデスクで事務仕事をしている。

 

あ。こないだの仕事の報告書も書かなきゃだった!

忘れるとこだったー

危なかったー

 

そんな事を思いながらパソコンに向かっていると。
シャーっと軽快な音を立てて、隣の席から椅子に座ったままの山田さんが近づいてきた。

 

山田さんは時々そうやって、椅子の車輪をシャーシャー言わせながら私のところに来る(笑)

まるで子供みたいなその行動がとても可愛らしい。

 

 

「まゆみさん、今度カフェに行かない?」

 

甘い声で、キラキラの瞳でそんな事言われると「うん!」と言いたくなるけど。

私はそれをぐっとこらえつつ

「カフェ?」

と聞き返してみる。

 

「うん。おしゃれなとこ見つけたからさ、一緒に行かないかなって」

 

さすが。誘い方がスマートだ。

美しい。

 

 

 

「何?カフェ?しょうがねーな!俺が一緒に行ってやるよ!」

私がうっかり山田さんに見とれていると、どこからともなく有岡くんが現れてそう言った。

「おめーさっき断っただろ!?」

それに反論する山田さん。

 

既に誘われてたんだ有岡くん(笑)

しかも断ったって(笑)

 

「いやほら。山田と2人でカフェってなんかさ、あれじゃん。だからだよ」

「は!?」

「楽しみだね!まゆみさん!」

有岡くんはひとしきりごにょごにょ言った後、山田さんの反応を華麗に無視して私に話しかけてくる。

「そうだね(笑)」

有岡くんの中ではどうやら私も行くことになっているみたいなので、とりあえず笑顔でそう答えてみた。

 

「え、まゆみさん行く?」

すると、山田さんが驚いたようにそう言う。

どうやら急な展開について行けないようだ(笑)

「あ、うん。行く(笑)」

「じゃあ・・・いいか・・・」

 

すっかり有岡くんにペースを乱されてる山田さん(笑)

でも、何とか状況を受け入れたみたい(笑)

 

「よかったな!山田!」

それを見て有岡くんが山田さんの肩を抱きながらそう言う。

 

何故だ(笑)

可愛いけど(笑)

 

「よくねーよ!お前は来んな!」

山田さんはそう言いつつ、有岡くんの手を振りほどこうともがく。

「なんでだよ!」

そんな山田さんに自分の手を振りほどかせまいと力を込めて更に肩を抱く有岡くん(笑)

「邪魔だからだよ!」

「邪魔って言うな」

山田さんの言葉に有岡くんは全くめげずにそう言った後

「いつ行く?今日のランチ?」

と普通に山田さんに問いかける。

 

さすが(笑)

メンタル強すぎる(笑)

 

「今日?」

「うん。俺、今日外回りないんだよ。山田は?」

「俺もない」

山田さんは有岡くんに肩を抱かれたままで普通に会話している。

 

 

 

 

本当、仲いいな♪この2人(笑)

 

私は、他の人に「おめー」とか「邪魔」とか言ってる山田さんを見たことがない。

きっと山田さんは有岡くんにだけは甘えられるんだろうなって思う。

有岡くんはそれを全部受け止めてくれる、大きい器の持ち主で。

本当に、本当に、最高に素敵な人。

 

 

 

「まゆみさんは?」

「え!?」

微笑ましい2人の姿を見てほっこりしていたら、急に名前を呼ばれてちょっと驚いてしまった。

 

「今日。外回りある?」

そんな私に有岡くんが優しくそう聞く。

「ううん。ないよ」

「丁度いいじゃん!3人で一緒にランチ行こ」

「うん(笑)」

 

有岡くんは何だか嬉しそうだ(笑)

有岡くんが嬉しそうだと、私も嬉しくなる。

 

「じゃあまた昼に」

山田さんはそう言って、シャーシャー言わせながら自分の席に戻る。

それを見届けた有岡くんも

「じゃあ後でね!」

と笑顔で言った後、自分の席へと戻っていった。

 

・・・♪

 

今日のランチも楽しく過ごせそうだから、頑張ろっと。

有岡くんと山田さんのおかげで、私は気分を新たにして仕事に戻れたのだった。

 

 

 

 

 

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