妄想小説Walk第100話
「ごちそうさま!おいしかった!」
「そっか!よかった!」
今日は有岡くんが家に来ている。
”オムライスが食べたい”
というリクエストがあったので、この間のお礼も兼ねてそのリクエストに応えてみた。
一口目から「うめーーー!!!!」と笑顔になり、夢中でがつがつ食べる姿は見ているだけで幸せな気持ちになる。
そして。
「ごちそうさま!おいしかった!」
と、満足そうな顔を見れたのも作った甲斐があって。
本当に有岡くんという人はどれだけ夢中にさせれば気が済むんだろうって思うぐらい素敵な人だ。
「有岡くん。この間は本当ありがとね」
私はキッチンで洗い物をしながら、リビングのソファでくつろいでいる有岡くんに向かってそう言った。
有岡くんの事を考えていたら、何となくお礼を言いたくなったからだ。
「ん?」
だが、有岡くんには聞こえなかったらしい。
「あ、ごめん、後でいいや(笑)」
今じゃなくてもいい。
洗い物が終わったら、改めてお礼を言おう。
私はそう思ったのだが。
「えーっ!何?」
有岡くんは気になったようだ。
「なになに?なんて言ったの?」
そう言いながら、リビングからキッチンにやってきた。
「後でいいよ(笑)」
「えー!?気になるじゃん今言ってよ」
「洗い物終わったら言うからくつろいでていいよ(笑)」
「いや、今言ってよ!気になるから!」
有岡くんはどうしても「今」知りたいらしい(笑)
もう。しょうがないな(笑)
私は洗い物の手を止めてから
「この間はわざわざ来てくれてありがとうって言っただけだよ(笑)」
と言った。
あの日、一緒にいてくれたのは本当に嬉しかった。
「あの日は俺が来たかったから来たんだよ」
私の言葉に有岡くんが急に真面目な顔をしてそう言う。
「あの日は、どうしても俺がまゆみさんのそばにいたかった」
「えっ・・・」
何だろう。
明らかにいつもと空気が違う。
「俺ね。まゆみさんは透けてるイケメンと一緒にいた方が幸せなのかもしれないって思ってた。」
・・・。
「けど間違ってた」
え・・・
「まゆみさんが好きです。俺と付き合って下さい」
ええええええええええ!!!!!!???????
突然すぎる有岡くんの言葉に私は驚きすぎて、頭の中が真っ白になる。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・まゆみさん?」
フリーズしてしまっている私に有岡くんは恐る恐る話しかける。
私はその声でハッとして有岡くんを見ると、有岡くんはとても不安そうな瞳でこちらを見ていた。
私も、きちんと、伝えなきゃ。
「私も、ずっと、有岡くんが好きです。」
そう言うと何故か勝手に涙が出てきた。
「・・・よろしくお願いします」
もう、それだけ言うのが精一杯で。
私はそう言って頭を下げる。
そして。そのまま涙を止めるために深呼吸してから顔を上げると。
そこには満面の笑みの有岡くんがいた。
「・・・何で泣いてんだよ」
「わかんない。勝手に出てくる」
「・・・ったくもう・・・」
有岡くんはあきれたようにそう言うと、私を優しく抱きしめた。
・・・愛おしい・・・
有岡くんのぬくもり。
私はずっと、このぬくもりが欲しかった。
誰よりも、何よりも、大切な人。
「本当、ずっと言いたかった。俺の事信じててって」
「えっ」
「でも言えなかった。俺が中途半端だったから。」
「・・・」
「多分俺、まゆみさんに甘えてたんだと思う」
「・・・」
「ごめんね」
「そんな!私だって・・・」
有岡くんに謝られて私は本当に申し訳ない気持ちになった。
「私だって、有岡くんの事、信じ続ける事が出来なくてごめん・・・」
「いや、距離置いたのは俺だから!まさかこんなことになるとは思わなくて!」
山田さんの事だ。
「私も思わなかった(笑)山田さんにとって私はただのターゲットだったみたい(笑)」
「だって俺のだもん」
私の言葉に有岡くんはさらりとそう言うと、ギューーー!!っと私を抱きしめて
「俺の♪」
と言った。
!!!!!!!!!!
可愛すぎるんですけど!!!!!!!!!
そして、幸せすぎるんですけど!!!!!!!!!
幸せすぎてどうにかなってしまいそうです神様!!!!!
「まゆみさん」
「ん?」
「俺を好きになってくれた時間は絶対無駄にしないからね」
「!」
・・・好きです。
大好きです。
色々あったけど、有岡くんについていける今と言う時間が、本当に、最高に幸せです。
「・・・何か、こんなに幸せでいいのかな・・・」
思わずつぶやいてしまった私に有岡くんが笑顔で言う。
「俺も幸せにしてもらお♪」
「えっ」
「ずっと、一緒にいて♪」
「・・・はい♪」
私が頷くと、有岡くんは本当に幸せそうな笑顔で私を再度抱きしめた。