妄想小説Walk第9話
が。前言撤回。
「まゆみさん、俺の事避けてない?」
リフトに2人で乗ることになってしまった時に有岡くんにそう聞かれてしまった。
「・・・うん。避けてるかも」
「やっぱり!菊の花の事?あれは本当にごめんって!」
「違う違う(笑) あれは本当に気にしてない(笑) 」
実は有岡くんの事好きになりかけてる時に、女の子と楽しそうに歩いてる姿見ちゃってさー
傷つきたくないからちょっと距離置きたいんだよねーーー
知らなくていいことは知りたくないタイプなの私ーーーーー
・・・なんて言えるかばーか!!
「あはははは!」
そんな気持ちを私は笑ってごまかす。
「?」
「ごめん冗談。避けてない(笑) そう見えてるんだとしたらごめん(笑) 最近色々あって疲れてただけ(笑) 」
「本当?」
不信感丸出しの顔で私を見る有岡くん。
思わず目をそらしてしまう。
「うん!」
「・・・だったらいいけど」
・・・よかった。うまくごまかせた。
「何かあったら俺に言ってよ?いつでも話聞くから」
「・・・ありがとう」
ねぇ。その優しさが人を傷つけることだってあるんだよ・・・?
・・・。
何なの私。
こんな私、やだ。
有岡くんは何も悪くない。
ごめん。本当ごめん。
切り替えよう。
「ねぇ、有岡くんって本当優しいよね。モテるでしょ?」
・・・切り替わってねーーーー!!
やっぱ気になってんじゃねーか私!!!!
「え?そうかな?」
「え?否定しないんだ(笑) 」
「そんなことないよ」
有岡くん、顔真っ赤っか(笑)
雪降ってんのに(笑)
「顔真っ赤だよ」
「は、恥ずかしいんだよ」
「可愛いね(笑) 」
何言ってんだ私。
てかこの反応はどっちなんだろう?
彼女いるのか?いないのか?
遠回し過ぎて全然わかんねーーー
・・・ってやっぱり思いっきり気になっちゃってるじゃん私・・・。
「はぁ・・・」
気づいたら深いため息をついてしまってた。
思わず有岡くんを見る。
・・・よかった。全然気づいてないみたいだ。
あーーーー!もう!!
本当やだこんな自分!!
嫌いになれたら楽になれるのかな・・・
今度は髙木くんとリフトに乗ることになった。
「ねぇ、まゆみさんやっぱり何かあったでしょ?」
「え!?」
いきなり聞かれて動揺が隠し切れない私。
「な、なんで?え?・・・え???」
「・・・わかりやす!!(笑) まゆみさんわかりやすいんだよなー(笑) 笑ってるつもりなんだろうけど全然上手に笑えてないよ?(笑) 」
「え!?・・・え!?」
「言ってみ?有岡と何かあった?」
「・・・ええ!?」
「もちろん無理にとは言わないけど。好きなんでしょ?有岡の事」
「まだ好きじゃない!!!!」
・・・あ。
反射的に言ってしまった私を見て髙木くんは笑ってる。
「もう好きじゃん(笑) 」
し、しまった・・・
「やめてよ・・・気づきたくなかったよ・・・」
思わず深いため息をつく。
「何があったの?あいつ何かした?」
「ううん、有岡くんは何もしてないよ。私が勝手に右往左往してるだけ」
私は有岡くんを好きになりかけてる時に街で偶然有岡くんが可愛い女の子と2人で歩いてるのを見てしまったこと。
それを見て好きになる気持ちを抑えていることを話した。
「・・・それだけ?」
え?「それだけ?」って??
思った反応と違うな・・・
「う、うん・・・」
「まだ彼女かどうかわかんないじゃん。俺聞こうか?彼女いるかどうか?」
「いい!いい!いい!いい!やめてやめてやめて傷つきたくないの世の中には知らない方が幸せなことも山ほどあるの」
「必死か!(笑) 」
髙木くんはそう言って笑う。
相当必死に見えるんだろうな。
でもさ。本当に必死なんだよ。
「必死だよ ・・・てか私そんな簡単に髙木くんにバレるような行動とってるんだ・・・気を付けよう・・・」
「有岡鈍感だから気づいてないと思うけどね(笑) 」
鈍感なのか!助かる!
「あ、でもさっき俺の事避けてない?って聞かれたんだけど」
「あいつそういうのはわかるんだ! やるじゃん! まあそれだけまゆみさんがわかりやすく避けてるって事だよね」
「・・・そっか・・・申し訳ないな・・・」
「だったら本人に直接聞いてみればいいじゃん。彼女いるかって」
「むりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむり」
私が食い気味で無理だというと髙木くんは
「あっそ(笑) じゃ知らね(笑) 」
と笑った。
「うん、そっとしといて(笑) 」
「でも何かあったら言えよ」
「ありがとう・・・」
優しい・・・
みんな何でこんなに優しいんだ・・・
私は幸せ者だ・・・・