妄想小説Walk第10話

次は八乙女くんとリフトに乗ることになった。

有岡くんにも髙木くんにもつっこんだ話をされて正直身構えていたのだけれど。

「まゆみさんは最近家で何作った?」

とまさかの料理の話で力が抜けた(笑)
八乙女くんは何も気づいてないんだな(笑)

でも、そんな八乙女くんにちょっと癒される自分がいる(笑)

 

 

 

 

スノボからの帰り道。
髙木くんと八乙女くんは2人でどこかに行くといって途中で車を降りたので、今は有岡くんと2人きりだ。

「まゆみさん、疲れてるなら寝てていいからね」

 

・・・優しい・・・

 

「ありがとう。有岡くんも疲れたら運転代わるから言ってね」
「俺は大丈夫だよ。ありがとね」

本当優しい。
私が避けてるのわかっててもこんなに優しくしてくれるなんて。

 

 

 

今日1日、有岡くんと過ごしてみて思った。
有岡くんを嫌いになんてなれない。
自分の気持ちを抑え込もうとしても抑えられないところまで来ちゃってる。
だったら、ただ前へ歩いていこう。

私は有岡くんが好き。
それでいい。

 

 

「有岡くん」
「ん?」
「今日は心配してくれてありがとう。嬉しかった」
「本当?」
「本当」

 

いつでも話聞くって言われた時、泣きそうだった。
今日1日ずっと心配そうな顔でチラチラ見ててくれてたのも気づいてた。
だからこそ、好きだって思った。

「まゆみさんが元気ないと心配だからさ。俺、本当にまゆみさんの力になりたいって思ってるからね。忘れないでね」
「本当、ありがとう・・・いつか、話せる時が来たら話すから・・・その時は聞いてね」
「うん。まかせとけ!」

「あーーーー今日は楽しかったね!!」

私はあふれてくる涙がこぼれないようにわざと大きな声で言った。

「うん!楽しかったーーー!!!!」

それに合わせるように有岡くんも叫ぶ。

「まゆみさんがまさかJUMPするとは思わなかったよーーー(笑) 」
「私も髙木くんと八乙女くんがあんなに子供っぽいとは思わなかった(笑) 」
「俺は?」
「有岡くんはイメージ通り(笑) 」
「イメージ通りでかっこよかった?」
「え?あーーーはいはい、そうね」
「なになになに違うの?」
「え?カッコイイって言って欲しいの?」
「うん」

素直(笑)

「じゃあカッコよかったよ」
「じゃあって」
「うそうそ(笑) かっこよかったよ! 」
「本当?」
「本当」

かっこいいって言われて嬉しかったのか、有岡くんはにっこにこ(笑)
やっぱり有岡くんには笑っててほしい。

「また遊びに行こうね♪ 」

そう言ってニコニコしてる横顔も素敵だ。

「うん、そうだね」

「・・・かっこよかったって」

既に話は終わったはずなんだけど、有岡くんはまだニヤニヤしてる(笑)

「うん。またカッコイイ姿見せてね」
「うん」

若干おだててみたら、あからさまにご機嫌だ(笑)
普段そんなにカッコイイって言われないんだろうか(笑)

 

 

 

「ありがとう。じゃあまたね」
「うん、またね」

家に着いて私が車を降りてからも有岡くんはニコニコしていた。
・・・なんてわかりやすい子なんだ・・・(笑)

 

 

 

 

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