妄想小説Walk第4話

今日は八乙女くんと取引先へご挨拶。
今回八乙女くんと2人でこの仕事を担当することになった。

そう言えば2人で担当するの初めてかも。

 

取引相手は普段八乙女くんが担当している会社で、私は今回サブでサポートさせてもらうことになっている。
相手先の担当は八乙女くんと仲良しの薮さん。
お友達に会うのが楽しみなのか、今日八乙女くんはテンション高めだ。
今は車で取引先に向かっている途中のはずなのだが・・・。

「・・・八乙女くん、もしかして道間違えた?」
「バレた?」

悪びれもせずにっこり笑って言う八乙女くん。

「やっぱり私が運転するべきだったか・・・(笑)」

八乙女くんは引くほど方向音痴なのだ。

「まゆみさんも方向音痴でしょ!大丈夫!約束の時間までには着くから!」

確かに私も方向音痴だから八乙女くんに任せたんだけどさ。
まぁとりあえず迷うことを見越して早めに出発したのは正解だった。
てか何で何度も行ってるはずの取引先への道を間違えるのか・・・
謎だ・・・

 

 

薮さんの会社(株)帝王に着いたのは約束の5分前だった。

「光、また道に迷っただろ」

八乙女くんの姿を見た途端に薮さんが言う。

「わかる?」
「何回来たら迷わず来れるんだよ(笑) 全く(笑)」
「うるせー(笑) 」

2人、笑いあう。
本当に仲良しって言うのが空気から伝わってくる。
何かいいな♪ こういうの♪

 

「こちら、今回のプロジェクトのサポートをしてくれるまゆみさん」
「初めまして。よろしくお願いします」

私はそういうと頭を下げる。

「こちらこそ。どうぞ」
「失礼します」

名刺交換を済ませ、着席。
仕事について語りだした2人はさっきとはうって変わって真剣な表情だ。

 

何かカッコイイな。
私も力になれるといいな。

 

 

 

「じゃ光、また飯でも行こう」
「おう」

打ち合わせが終わると薮さんと八乙女くんはまた元の仲良しさんに戻った。
やっぱりいいな♪ こういうの♪

「まゆみさんもこれからよろしくね」
「よろしくお願いします!」

 

 

 

㈱帝王を後にした時にはもう13時を回っていた。
私と八乙女くんはとりあえずその辺の定食屋さんに入ってご飯を食べることにした。

2人ともお腹がすいてたせいか、食べてる時は無言で食べ物と向き合っていた。

「ごちそうさまーーーあーうまかったーーー」
「あ、ごめん、もうちょっと待っててね」

八乙女くんより食べるのが遅い私はやっぱり八乙女くんの食べる速度についていけなかった・・・

「大丈夫。ゆっくり食べて。勝手にしゃべってるから」
「ありがとう(笑)」

とはいえ、待たせるのも申し訳ないし、急がなきゃね。

 

「社員旅行の日、有岡と遊んだの?」

ブッ!!

急に有岡くんの名前を出されて私はびっくりして口の中のものが飛び出そうになった。
危ない・・・・・

「遊んだっていうか、レンタカー返しに行ってご飯食べた感じだよ。有岡くんに聞いたの?」
「うん。楽しかったって」
「そっか、よかった」

 

普通にしゃべっちゃうのね(笑)

 

 

・・・

 

 

・・・そっか。楽しかったんだ。

 

 

・・・

 

 

そっか・・・

 

 

「何か嬉しそうだね」

八乙女くんに言われてドキッとする。

「え!?」
「そんなに楽しかったんだ」
「え?・・・あ、うん、楽しかったよ」
「じゃあ次は俺も行こうかな」

そうなるんだ(笑)

「あ、うん、いいね!みんなで遊びにいこ!うん!」

何だかよくわかんないけど慌てて私は言う。
そんな私の微妙な感情には一切気づかない様子の八乙女くんは
「俺たち、スノボとかサバゲーとかするんだけど一緒に行く?」
と言い出した。

「行く!!スノボ大好きだしサバゲー興味ある!」
「じゃあ髙木と有岡と計画立てとくわ」
「ありがとう」

3人ともアウトドアなんだ!
ちょうど体動かす遊びがしたかったしちょうどいい!
楽しみ!

 

 

 

 

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