妄想小説Walk第5話

ご飯を食べ終わって2人で会社に戻ったら、髙木くんと有岡くんが2人で楽しそうにお話していた。

「あ。まゆみさん」

私の姿を見つけて有岡くんが走ってくる。

「あ、有岡くん、おつかれー」
「お疲れ様です!僕、今度まゆみさんと仕事させてもらうことになりそうですよ!」
「え?」

一瞬、何の話かわからず、聞き返してしまう。

「白米商事のプロジェクトのサブについてまゆみさんに色々教えてもらえって言われて。」

そんな私には構わずに話を続ける有岡くん。

「あ!そうなんだ!よろしくね」

私がそう言うと有岡くんは

「よろしくお願いします!」

と元気に言って頭を下げた。

 

・・・そっか。とうとう私の番か。

 

うちの会社は新人を順番に全員のサブにつけて教育する。
有岡くんは八乙女くん→高木くんの順にサブについていたけれど、今度は私の番のようだ。

 

そっか、このタイミングで来たか。
・・・そっか。・・・うん。わかった。

 

「じゃあ明日担当の伊野尾さんにご挨拶に伺おうか」
「はい!よろしくお願いします!」

私の言葉にお辞儀90度で答える有岡くん(笑)
何か張り切ってんな(笑)
いいことだ(笑)

 

 

 

「おはようございます!!」

翌日。
出社した有岡くんが元気に挨拶してくれた。
いつも眠そうなのに珍しい(笑)

「おはよう(笑) はりきってるね」
「はい!ちょっと緊張してるけど」

緊張してたのか(笑)

「大丈夫だよ。フォローするから」

私が言うと

「・・・はい♪ 」

有岡くん、笑顔。

 

・・・それはいいんだけど、何か違和感あるんだよな・・・
何だろう?

そう思って私は有岡くんをじっくり観察してみた。

 

じーーーーっ

 

「え?・・・なに?」

 

じーーーーっ

 

「なになになになに!?怖いんだけど」

 

じーーーーっ
・・・!!見つけた。

「有岡くん、シャツのボタン掛け違えてる(笑)」
「へ!?」
「着替えておいで(笑)」
「あ、はい!」

慌てて走っていく後ろ姿が何だかかわいらしい(笑)
本当、憎めない子だわ(笑)

 

 

「すみませんでした!」

着替えて戻ってきた有岡くんのボタンの掛け違えはちゃんと直っていた。

ほんのりほっぺたが赤い(笑)
恥ずかしかったんだろうか(笑)

「じゃ、いこっか」
「はい!」

そして私たちは会社を出て、白米商事に向かったのだった。

 

 

 

「あ、伊野尾さん、おはようございます」

白米商事の応接室。
担当の伊野尾さんにご挨拶。

「おはよーえー今日男連れなのーーー?」
「昨日電話でお話した通りですよ(笑) こちらがうちの有岡です」

私はそう言いながら有岡くんを紹介する。

 

昨日電話で軽く説明しといたのに。伊野尾さんったら(笑)

 

「有岡大貴です!よろしくお願いします!」
「ふぅーんそうなんだーよろしくねーー」

緊張でガッチガチの有岡くんとゆるっゆるの伊野尾さん(笑)
なんだこれ(笑)

「ねーまゆみさん、いつデートしてくれるの?」
「いつでしょうねー」
「またはぐらかすーーー」
「そんなことないですよ。時間が合うといいですね」

いつものやりとり。
伊野尾さんはいつも冗談でデートに誘ってくる。

「じゃあまた。メールするから」

お誘いメールなんてもらったことないよ(笑)
そう思ったけど。

「はーい。失礼しまーす」

私はそう言って頭を下げた。

「失礼します!」

隣で有岡くんは90度のお辞儀(笑)
そして私たちは白米商事を後にした。

 

 

 

 

 

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