妄想小説Walk第39話
洋食屋さんを出た私たちは、有岡くんの予約してくれたお店に向かったのだが・・・
そのお店はものすごくおしゃれなところで!
個室って事もあり、ゆっくりお話出来そうな所だったんだけど
こんなおしゃれなお店を有岡くんが知ってるって事が何だか衝撃的すぎて!
「すごいね!有岡くん、こんな素敵なお店知ってるんだ!」
私は思わずそう言ってしまっていた。
それに有岡くんは
「髙木さんに教えてもらったんだよ!俺も初めて来たけどいいお店だね! 」
と笑顔で答えてくれて、何かホッとした。
何というか、今日は知らない有岡くんをたくさん見たせいか、思ってた有岡くんとのギャップに正直着いていけてない自分がいるというか。
その中で、私の知ってる、私の好きな有岡くんのかけらが見えたような気がして。
何か有岡くんっぽいというか・・・
それに、とにかくホッとしていた。
「で、聞きたいことって何?いのちゃんのこと?」
乾杯を済ませると早速有岡くんがあやかさんに言う。
「うん。慧ちゃん、途中で帰っちゃったでしょ?何があったの?」
「あやちゃんに彼氏がいないって話したら帰っちゃったんだよね」
「え?どういうこと?」
有岡くんの雑な説明にあやかさんもともさんもきょとん顔。
うん。有岡くん。言葉が足りなさすぎるよ。
「実は、有岡くんがお二人の席に行ってる間に伊野尾さんから聞いたんですけど、伊野尾さん、あやかさんには彼氏がいるって思ってるみたいです」
私はなるべく状況が伝わるように、と意識しながら話す。
「え!?」
「同じ会社のイケメンで背の高い人だっておっしゃってました」
「あやちゃん、それって・・・」
「うん、多分裕翔の事だ」
ともさんの言葉にうなずくあやかさん。
そして、続ける。
「それ、多分、元カレの事です」
「いのちゃんには別れたって言ってないの?」
有岡くんが疑問をぶつける。
「私が裕翔と付き合い始めたのを知ってから、慧ちゃんは私とあまりしゃべってくれなくなっちゃって・・・。今日会ったのも久しぶりだったの」
「そうなんだ」
「そもそもあやちゃんは慧ちゃんを諦めるために中島くんと付き合ったんでしょ?」
ともさんが言う。
それにあやかさんは少し表情を曇らせながら
「うん・・・裕翔には申し訳ない事しちゃった・・・」
と言い、有岡くんの「どういうこと?」という問いに対して更に表情を曇らせながら話を続けた。
「私、ずっと慧ちゃんの事が好きなの」
「うん」
「でも慧ちゃんの周りにはたくさんの女の子がいて」
うん。あれだけキレイならそりゃモテる。
「全然私の事見てくれないのなら諦めた方がいいのかなって思ったんだよね」
・・・わかる。
すごくわかる。
「そんな時に裕翔に告白されて。裕翔のまっすぐな想いに感動して付き合い始めたんだけど・・・」
うんうん。
「裕翔が素敵な人だなって思えば思うほど慧ちゃんの事思い出して辛くなってきちゃって」
「ああ・・・」
「慧ちゃんの事、諦めきれないのにこのまま裕翔と付き合い続ける事は出来ないって思って・・・」
「別れたんだ?」
「・・・そう」
「そっか・・・」
そういう事か・・・。
「いのちゃんって、誰かれ構わずデートに誘う人だった?」
しばらく考え込んだ末に有岡くんがそういう。
「ううん、そんなことない」
あやかさんは即答。
ほほう・・・。
てことは伊野尾さん、あやかさんに彼氏が出来た事で動揺してあんなキャラになった可能性があるのね。
・・・可愛い所もあるじゃないか・・・♪←
「いのちゃん、今は彼女作る気ないって言ってた」
「そうなんだ・・・」
有岡くんの言葉に複雑な心境な表情をするあやかさん。
そんなあやかさんに向かって有岡くんはまっすぐに、そして力強く言う。
「でもそれは多分、いのちゃんが自分の気持ちに気づいてないからだと思うんだよね。俺は、いのちゃんはあやちゃんの事が好きなんだと思う」
「本当・・・?」
「うん!だから、いのちゃんとちゃんと話した方がいいと思う」
うん。私もそう思う。
「でも慧ちゃん、私からの電話には出ないし、メールも無視だし・・・LINEは多分ブロックされてる」
え。何それ。どんだけなの伊野尾さん(笑)
動揺するにもほどがあるでしょ(笑)
「じゃあ、あやちゃんが元カレと別れたことは俺がいのちゃんに言っとくから、その先は自分で言いな」
「ありがとう・・・!」
ああ・・・頼りになる男、有岡くん・・・!
素敵・・・!!
惚れるわ・・・!!!
・・・って。もう惚れてた(・_・)←
「今日は本当に偶然が重なってるよね!いのちゃんとあやちゃん幼なじみだし、薮さんと知念兄弟だし、薮さんとまゆみさん知り合いだし、知念と俺、友達だし」
ふいに、有岡くんがそういう。
「本当、複雑に糸が絡み合ってるみたい」
それに同意する私。
ふたつのグループの中でそれぞれが何かしらの関係を持ってるって事、そうそうないよね。
「あ、そういえば二人と知念も偶然会ったんでしょ?それもすごいよね!」
「・・・」
有岡くんの言葉に顔を見合わせて黙り込むともさんとあやかさん。
そして、何かを決めたのか、真面目な顔でともさんが口を開いた。
「嘘ついてるの、心苦しいから言うね。実は・・・偶然じゃないんだよね」
「え?何が?」
「知念くんと私たちが会ったの。偶然じゃないの」
・・・え???????
「どういう事?」
「昨日、会社で知念くんが「明日宏太と家電量販店に行くんだー♪ 」って言ってて。それがすごく可愛かったなーって思い出してたらどうしても知念くんに会いたくなって・・・。」
まさか・・・???
「それで、あやちゃんに着いてきてもらったの」
マジかー(笑)
「そしたら偶然会ったんだよね!」
「そう!」
いや、それはもはや必然(笑)
でも何か可愛いな♪
会いたくてどうしようもなくて会いに行っちゃうとか♪
いやーしかしまさかのストーカーとは(笑) ←
・・・え。
てことはまさか?
「ともちゃん、知念の事が好きなの?」
すごい有岡くん。どストレートに聞いた!(笑)
「・・・うん」
「そうなんだ!へー!!そっかー!!」
ともさんが知念さんの事を好きだと知って有岡くん、大興奮。
「知念いいやつだから!」
「知ってる♪ 」
「知念はねー受け身な所があるから、ともちゃんが引っ張ってあげるといいと思う!」
有岡くん、アドバイスしてる(笑)
聞かれてもないのに(笑)
「あーそっかー知念の事が好きなんだーそっかー♪」
何か有岡くんすごく嬉しそう(笑)
可愛いなー本当(笑)
「そうだ!!!今度みんなでお祭り行こうよ!いのちゃんと知念誘ってさ!男は俺が誘っとくから!」
テンションが上がったのか、やたら大声でいう有岡くん(笑)
「行きたい!楽しそう!」
同じぐらいの熱量でともさんもはしゃぐ。
「でも慧ちゃん来てくれるかな?」
あやかさんは少し不安そう。
それに
「大丈夫だと思う!」
言いきる有岡くん(笑)
でもそれでようやく
「そっか。楽しみ♪ 」
あやかさんも笑顔になった。
その後も無駄にテンションが上がった有岡くんが大騒ぎし、楽しい時間を過ごすことが出来た。
そして私たちはだいぶ仲良くなることが出来たのだった。