妄想小説Walk第38話

「伊野尾さん大丈夫かなぁ・・・?」

大丈夫だとは思うけど、あんな儚い顔されるとちょっと心配になる。
でもやっぱり儚い顔も美しい←

「大丈夫だと思うよ。心配?」

有岡くんが優しく言う。

「うん、ちょっとね・・・」
「いのちゃん、何か言ってた?」
「うん。イケメンの彼氏がいるはずなのに男と飯食っちゃダメだよねって。」
「イケメンの彼氏?」
「そう。あやかさんの会社の背の高い人だって言ってた」

 

イケメンで背が高くてあやかさんの会社にお勤めで・・・・
って。
よく考えたら伊野尾さん、めっちゃ知ってるなイケメン高身長野郎さんのことΣ(゚Д゚)
会ったことあるのかな・・・?

 

「でもあやちゃん彼氏いないって言ってたよ」

 

・・・あやちゃん?
もうそこまであやかさんとの距離縮めてるんだΣ(゚Д゚)
さすがだな・・・

 

「あやかさん、彼氏いないって言ってたんだ・・・。てかあやかさん、絶対伊野尾さんの事好きだよね」
「うん。俺もそう思う。いのちゃん勘違いしてるよね?」
「多分そうだよね。それに意外と嫉妬してるように見えるんだけど・・・」

私の言葉に有岡くんは少し考えてから

「いのちゃんもあやちゃんの事好きだよね?」

という。

「私もそう思う」
「いのちゃんもしかしたら自分の気持ちに気づいてないのかもなー」

 

なるほど!気づいてないのか!
気づいてないからどうしていいかわからないんだ!

 

「ああ!そうかも!あんなに女性に冷たい伊野尾さんなんて見たことないもん」
「俺も初めて見た」
「・・・」

有岡くんと私はそれっきり黙り込んでしまう。
・・・というか、私は伊野尾さんとあやかさんのすれ違いが気になってしまっていた。

 

 

「・・・気になるな・・・」

どうやら有岡くんも同意見だったらしい。

「うん、気になるね」
「あやちゃんに聞いてみようかなぁ・・・」
「え?聞けるの?」
「多分教えてくれると思う」
「そっか」

 

有岡くんとそんな話をしていたら

「まゆみさん」

と声をかけられ、振り返るとそこには薮さんと知念さんが立っていた。

 

「あ、お疲れ様です!」

慌ててご挨拶。

「2人仲いいねー(笑) 内緒話?」
「えっ」

仲いい?本当?やだめっちゃ嬉しいんですけど♪
えー♪♪♪ ←

「あ、薮さんお帰りですか?」
「うん、またね」
「はい、また! 」

 

薮さんと私がそんな話をしている間、有岡くんと知念さんは

「大貴!」
「知念!また連絡するから飯行こう!」
「うん、待ってるね♪ 」
「絶対連絡する♪ 」

と微笑ましいやり取りを交わしていた。

・・・カップルかよ(笑)

 

 

 

 

「あの2人がまさか兄弟だとはなー世間は狭いね!」

薮さん知念さんが去った後、有岡くんがしみじみとそういう。

「本当、狭いね!」

てか2人の名字が違うって事、地味に気になってるんだけど聞けなかった・・・
きっと、何か事情があるんだろうな・・・

 

 

 

 

「あの・・・すみません」

また声をかけられて振り向くとあやかさんがいた。

「あ・・・!」
「あやちゃん!どうしたの?」
「大ちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」
「うん、いいよ。俺もあるし」

「あ、私、席外しましょうか・・・?」

私は気を使ってあやかさんに言ってみたけど

「いやいや、まゆみさん俺がいないと帰れないじゃん。あやちゃん、まゆみさんもいていいよね?まゆみさんは大丈夫だから」

と有岡くんに止められた。

 

そっか。そう言えば有岡くんの車に乗ってきたんだった。

 

「うん、逆に大丈夫ですか?私の話を聞いてもらっても」
「はい!あやかさんがよければ私は全然大丈夫です」

本当、あやかさんが大丈夫なら!

「じゃあ店変える?ゆっくり話したいよね」

有岡くんの提案に

「あーうんそうだね」

うなずくあやかさん。

「ともちゃんも行くよね?俺いい店知ってるから予約しとくわ」
「うん、ありがとう」

あやかさんはそういうと席に戻っていった。

有岡くんはお店に予約の電話をしてくれている。

 

 

・・・かっこいい!!

有岡くんってこんなに頼れる男だったっけ?

 

 

てか大ちゃんって!
本当すごい!
そんなに早く人との距離が縮められるとか!

 

 

何か今日一日で有岡くんのいろんな面を見れてる気がする・・・。

 

 

 

 

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