妄想小説Walk第31話
観覧車に乗り込んだ私たち。
「まゆみさん高い所平気?」
窓の外の景色を見ながら言う有岡くん。
「うん。大丈夫。」
「そっか」
私の言葉にそう言った有岡くんはニヤッとしたかと思うと、観覧車を揺らし始めた。
「わ!!」
やるんじゃないかとは思ってたけれど!!!!!!!
「危ないって!」
そう言ってみるけれど、全然やめようとしない。
「もう!やめなさいって!!」
再度そう言って有岡くんの腕をつかんでみたら、私に向かって嬉しそうにニヤっとした後、ようやく揺らすのをやめた。
「怖かった?」
ニヤニヤしながらいう有岡くん。
「全然!」
ちょっと怖かったけど、意地でも怖かったとか言いたくない(笑)
「怖かったでしょ?」
「ちっとも!!」
「あはは!」
「もー子供じゃないんだからさー」
いつまでも笑ってる有岡くんに私はそうぼやく。
その時。
LINEの着信音が聞こえたので画面を開くと、グループLINEに着信だった。
そこには髙木くんと八乙女くんが自撮りした、何とも楽しそうな写真が(笑)
「楽しそう!!俺らも撮ろ!!」
いつのまにか自分のスマホでその写真を見ていたらしい有岡くんがそう言って私の隣に座る。
構えたスマホに向かってニッコニコ笑顔な有岡くんの横顔を見てると、何だか幸せな気分になった。
けど。
「まゆみさん、俺じゃなくてカメラ見て!」
って言われて現実に引き戻された。
「あ、ごめん(笑) 」
私たちが軽くふざけた写真を数枚撮った頃、観覧車は頂上へ。
そこには絶景が広がっていた。
「見て見て有岡くん!いい眺めだよ!!」
思わず興奮してしまう。
「本当だ!!スゲー!!!!」
私以上に興奮する有岡くん(笑)
だよね。
彼のそういう所が好き♪
「髙木さんたちどこにいるかな」
有岡くんの言葉に私もつられて外を見た。
!!!!????
その時。私は目の前に突然現れた蜘蛛に驚いて反り返ってしまい、隣に座っていた有岡くんに思いっきりぶつかってしまった。
しかし、それどころじゃない私はそのまま有岡くんの腕にしがみついた。
「何!?」
「蜘蛛!!」
「マジか!!」
立ち上がって逃げる有岡くん。
おかげで私も思いっきり引っ張られる形になった。
観覧車の中で立っている私たち(笑)
「と、とりあえず、座ろう!」
私はそういい、蜘蛛がいる反対側の座席をくまなくガン見。
有岡くんも同じ動きをし、何もいないことを確認してからゆっくりと席に座った。
「あーびっくりした・・・」
2人して、ため息。
「あ!ごめん!」
有岡くんの腕にしがみついたままだったことに気づいた私はそう謝ると、慌てて手を離す。
「怖かったらつかんでていいよ。俺も怖いけど」
怖いんじゃん(笑)
「有岡くん、虫ダメなの?」
「うん。怖い」
「同じだね(笑) 」
「そうだね(笑) 」
「じゃあ一緒に乗り切ろう(笑) 」
「うん(笑) 」
私たちの視線は蜘蛛にくぎ付けだ。
「まゆみさん」
「ん?」
「やっぱり俺の腕つかんでて。その方が安心する」
「わかった」
私たちは蜘蛛の姿をずっと見つめたまま、早く地上に着かないかとソワソワしていた。
地上に着いた途端、急いで観覧車を降りる私たち。
そして、お互い顔を見合わせて笑いあった。
「危なかったーーー!」
「何が?(笑) 」
「生きて帰ってこれてよかったよ!」
「お勤め、ご苦労様です!」
「ん!ありがとう!」
軽くふざけた後。
「あ、ごめん!ありがとう!」
私はつかんだままになっていた有岡くんの腕から、そう言って手を離した。
「こちらこそありがとう。安心出来たよ」
「ならよかった(笑) 」
そう言ってもらえるならいくらでもつかみます!←
「休憩のつもりだったけど全然休憩出来なかったね 」
「本当だよ!ずっと心臓バクバクしっぱなしだ(笑) 」
「俺もドキドキしてる(笑) 」
「だよね(笑) びっくりしたよね(笑) 」
「うん(笑) びっくりした(笑) 」
蜘蛛とともに密室に閉じ込められていた所からの開放感のせいか、2人してテンション高めで、笑いっぱなしの私たち(笑)
「じゃあメリーゴーランドにでも乗って休憩する?」
「いいよ(笑) 」
私は有岡くんの言葉に同意した。
メリーゴーランドって(笑)
有岡くん、似合いすぎだよ(笑)