妄想小説Walk第30話

ある日の休日。
私は有岡くんと髙木くんと八乙女くんと4人で遊園地に来ていた。

 

「ジェットコースター乗りません?」

有岡くんがノリノリで言ってる。

 

ジェットコースターかぁ・・・
絶叫系苦手なんだよな・・・
そんなことを考えていたら。

 

「あ、俺パス!まゆみさんと2人で乗ってこいよ。八乙女!その間俺に付き合ってよ」

髙木くんはそう言うと

「いいよ」
と言った八乙女くんとともに風のようにどこかに行ってしまった。

 

 

 

・・・逃げた・・・?

 

 

 

髙木くんも絶叫系苦手なんじゃないの?(笑)

こうなったらもう逃げられないな・・・

 

「じゃあ行く?」
「う、うん・・・」

有岡くんに言われてそう返事したけど・・・
こ、怖い・・・

でも有岡くん乗りたいんだもんね。
頑張るよ。私。

 

 

 

・・・。

 

 

 

ジェットコースターの列に並んでいると、ジェットコースターに乗ってる人々の悲鳴が聞こえてくる。

 

 

 

・・・。

 

 

 

怖い。助けて。無理。

・・・でも有岡くん乗りたがってるし・・・

 

 

 

 

きっとね。これに乗れたら私、一皮むけると思うんだ。
この先、そこそこの困難なら乗り越えられるようになると思うんだ。
だから、頑張ろ。私。うん。そうだね。ははは。

 

そうやって自分を励ましてみるものの、やっぱり悲鳴とジェットコースターの音を聞くと怖い・・・。
もう、本当どうしよ・・・。

 

 

 

 

「まゆみさん」

ぐるぐるとそんなことを考えていたらふいに有岡くんに名前を呼ばれた。

「ん?」

何事もなかったかのように返事したかったけど、声がかすれてしまう。
どんだけよ、私(笑)

「大丈夫?もしかして絶叫系苦手?」
「えっ何で?」
「さっきからずっと固まってるから」
「・・・わかる?」
「わかる」
「うん、実は苦手です・・・」
「乗るのやめる?」

有岡くんが優しく聞いてくれる。でも。

「ううん、大丈夫!多分ね。私、これに乗れたら相当レベルアップ出来る!」
「あははは!」

私の全力のやせ我慢に有岡くんは笑ってる。
うん。笑い飛ばしてくれてる方がいい。

「じゃあ手つなぐ?少しは落ち着くかもよ」

有岡くんはそう言って私に手を差し出した。

 

「!?」

 

ど、どうしよう・・・
いいんですか・・・?
いいんですかね・・・?これ・・・?

あ、でも有岡くん彼女いないって言ってたし、きっと誰かに迷惑かかることはない・・・はず。

 

 

「いいの?」
「もちろん!」

私はおずおずと有岡くんの手に自分の手を重ねた。
すると

「まゆみさん、汗だくじゃん(笑) 」

と言われ、恥ずかしくなって「ごめん!」と手をひっこめようとしたのだが、その手をギュッと握られてしまった。
そして

「大丈夫!怖くないよ!」

力強く、優しくそう言ってくれる有岡くん。

「・・・!」

 

・・・何か急に有岡くんが頼もしく見える・・・。

 

私は違う意味でドキドキしてしまって、今からジェットコースターに乗る恐怖とかすっかり忘れてしまっていた。

 

 

 

 

 

「・・・。」

ジェットコースターに乗り終えた直後の私は抜け殻過ぎて、有岡くんに手を引っ張ってもらわなければ動けないほどだった。

 

 

「大丈夫?」

泣いてしまった私を見て有岡くんが心配そうにそう言ってくれるけど、うなずくことしかできない。

「ここに座りな」

有岡くんはそんな私を座らせた後、隣に腰を下ろした。
その途端に何だかホッとして、

「あーーーーーーーーーー怖かったーーーーーーーーーー!!」

と、ようやく声が出た私。
そんな私を見て大爆笑してる有岡くんを横目に、私はカバンからハンカチを取り出して涙を拭いた。

 

きっと私、今ひどい顔してるや。
・・・うん。しょうがない。←

 

 

 

 

「本当に苦手なんだね。何で乗ったの?」

おい。

「有岡くんが乗りたいって言うからでしょうよ」
「俺の為に乗ってくれたの?ありがとう!」

 

 

・・・許す。←

 

 

びっくり顔からの全力笑顔の有岡くんが見れただけで乗った甲斐があったってもんだ。

 

 

「ねぇ、私ものすごいレベルアップしたの感じない?」
「感じる!」
「今後少々の事じゃへこたれない気がする。」
「うん!そうだね!」

話を合わせてくれる有岡くん。
好き。

「あー頑張った!」
「頑張った頑張った!本当ありがとう!俺の為に!」
「うん」

・・・ん?
何かすごくお兄ちゃんみたいだ。
有岡くんって、意外と頼れる人・・・?

 

 

・・・てか私、とんだ醜態さらしてないか・・・!?
ど、どうしよう。恥ずかしい。
少し冷静になったおかげで気づいてしまったけれども。
どどどどどうしよう・・・・。

 

 

「髙木くんと八乙女くんは何に乗ってるんだろうね?」

私は恥ずかしさを吹き飛ばそうとそう言いながらスマホを取り出した。
何か連絡が来てるかもしれない。

・・・なんて、自分に言い訳してるけど、恥ずかしくて顔をあげてられなかった。

 

LINEを開くと、髙木くんからグループLINEにメッセージが入っていた。

 

”ごめん結構並んでる。2時間後に待ち合わせよう”

 

「髙木くんと八乙女くん、あと2時間かかるみたい」
「本当だ。どうする?何して遊ぶ?」

スマホの画面をのぞきこんで有岡くんが言う。

”何して遊ぶ?”なんだ(笑)

「何してあそぼっか?(笑) 」

さっきまでお兄ちゃんみたいだったのにもう子供みたい(笑)
そういうとこだよ。もう。

 

「2時間あれば何個乗れるかな・・・」

有岡くんはそういうと少し考え込み、

「あ、でもまゆみさんすぐには動けないよね。とりあえず観覧車に乗って休憩する?」

と言ってくれる。
・・・優しい♪

「うん、そうしようか!」
「じゃ行こう!」
「うん! 」

何かすごくニコニコしている有岡くんの笑顔に私もつられて笑顔になりながら2人で歩く。

有岡くんは本当に遊園地が好きなんだな(笑)

 

 

 

 

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