妄想小説Walk第29話

会社の近くのみんながよく行く定食屋さんで、私と有岡くんはただいまご飯を食べている。
そんな中。

「まゆみさん最近髙木さんと仲いいよね」

有岡くんが急にそんなことを言ってきた。

「うん、そうだね」

確かに最近は髙木くんとよく飲みに行ってるし、以前と比べてもだいぶ仲良しだという自覚がある。
けれど。
有岡くんの次の言葉を聞いて、私は驚くことになる。

 

「髙木さんの事好きなの?」

「え!?何で!?」
「最近髙木さんの事”雄也”って呼んでない?」

ここまで言った有岡くん。
ハッとした顔をして話を続ける。

「もしかして付き合ってんの・・・?」

なぜか小声だ。

「ないないないない」

私はすぐさま否定。

「本当?」
「本当!」

にしても。
伊野尾さんの次は髙木くん?
この子はどこまで鈍感なんだ・・・

 

 

 

確かに最近は髙木くんの事親友だと言っても過言じゃないくらいよく遊んでるけど、それは有岡くんの事が好きだって言えない私を見かねた髙木くんが色々アドバイスをしてくれてるからであって、決して付き合ってるわけじゃないよ!

 

・・・なんて言えないよ・・・
もうなんかだんだん切なくなってくるよ有岡くん・・・

 

 

・・・いや。
私が有岡くんの事好きだっていう態度をとってないからいけないんだよね、きっと。

でも、怖いんだよ。
今が楽しすぎるから、この関係が壊れるのが怖いんだよ・・・

 

 

 

 

「あのね、有岡くん。何度も言うようですが、伊野尾さんにも髙木くんにも選ぶ権利があるでしょ?それに、私が”雄也”って呼ぶのは、イケボキャラの時だけだよ」

私は暗い気持ちを吹き飛ばすように明るくそう言う。

「イケボキャラ?何それ??」

それに怪訝な顔でそういう有岡くん。

うん、まあそうなるよね(笑)

「髙木くんって本気出すとすごいイケメンボイスなの!!それを発見してから髙木くんは少女漫画に出てきそうなセリフを考えてきて私に挑戦して来るんだよね」
「挑戦??」
「うん。多分100点狙って頑張ってるんだと思うんだけどさ・・・」

ここまで話した時、お店のドアが開いて、入ってきたのは髙木くんと八乙女くんだった。

 

「あれ!ここで飯食ってたんだ!」

髙木くんはそう言いながら私の隣に座る。
相変わらずタイミングがいい。

「うん。今日髙木くんは八乙女くんと2人で動いてたんだね」
「うん」

会社の近くのみんながよく来るお店だから出会ってもおかしくはないんだけど、こうタイミングがいいと何か笑ってしまう。

「お前何で笑ってんの?」

それに気づいて言う髙木くん。

だよね。気づくよね。髙木くんだもんね。

「髙木くんのタイミングが良すぎて(笑) ね?有岡くん(笑) 」
「うん(笑) ちょうど髙木さんの話をしてたんです」

私が有岡くんに同意を求めると、同じように笑いながら有岡くんもそう言ってくれた。

「え?俺の?何の話してたの?」
「イケボの雄也の話(笑) 」
「イケボの雄也って何?」

1人だけ何の情報も持ってない八乙女くんが笑いながら言う。

だよね(笑)
八乙女くんにとってはなんのこっちゃだよね(笑)

「髙木くん、1ネタやってよ(笑) 」

とりあえず、無茶ぶりしてみる私。
それに髙木くんは大きく息を吸うと、私の目をじっと見て言った。

 

 

「いつまで他の男見てんだよ。俺だけ見てろ」

 

 

 

雄也降臨(笑)
でもなー

 

「んーーーーーーーーーー・・・・・」
「何点?」
「70点」
「低!!!」

私のつけた点数に不満そうな髙木くん(笑)

「だって・・・」

私、俺様な人は苦手なんだもの・・・

 

 

「はい!はい!俺もやりたい!!」

私と髙木くんのやりとりを見てた有岡くんが挙手(笑)

え?いいんですか?
ありがたすぎるですけど。

「お!有岡行け!」

髙木くんも面白がっている(笑)

「はい!・・・まゆみさん、ちょっとこっち来て」
「ん?」

テーブルをはさんで向かい側に座っている有岡くんに手招きをされた私は身を乗り出し気味にして耳を近づけた。
その瞬間。

「頑張ったね!」

有岡くんはいつもの優しい声でそう言い、私の頭をポンポンっとした。

「!!」

私はびっくりして一瞬固まり、その後気持ち悪いほどニヤけてしまった顔を慌てて両手で隠した。

 

 

・・・やばい!!やばいよ!!!!これはやばいやつだよ!!!!!
ダメだ!!好きすぎる!!!

 

 

視線の端で髙木くんが有岡くんに向かってサムズアップしている姿が見える。
さすが髙木くん。わかってらっしゃる。

「え、じゃあこれは?」

一連の流れを見ていた八乙女くんが嬉しそうに参戦。

 

「俺+お前=永遠の愛」

 

「・・・・。」
「何点?」
「100八乙女ポイント」
「何だよそれ!」

私の採点に八乙女くんは笑いながらそう言う。
けど、いや、そうなるでしょ。としか言えない(笑)

 

 

「有岡!もう1個いっとけ!」
「はい!」

えっ髙木くん。
ありがとう。
最高かよ。

 

有岡くんは今度は私の目を見てにっこりと笑い、言った。

 

 

「まゆみさん、今夜は夢でも会おうね♪ 」

 

 

「ぶは!!!!」
「有岡お前スゲーな!!まゆみさんのツボ心得てんじゃん!」

思わず吹き出してしまった私の姿を見て髙木くんが興奮気味にそう言う。

「え!俺まゆみさんのツボ心得てんの?」
「え、えーっと・・・・」

有岡くんに問われたけれど、何か恥ずかしくなって下を向いてしまう・・・

「心得てるよ!ほら。見てみろよ。まゆみさんのニヤニヤが止まんねー(笑) 」
「ちょっとやめてよ恥ずかしいじゃん・・・」

本当に勘弁していただきたい・・・

「まゆみさん顔真っ赤だよ!」
「有岡くんまでやめてよ・・・」

恥ずかしいってマジで・・・

「まゆみさん、有岡に甘くない?」

そんな中で急に八乙女くんにそう言われて私はちょっと困ってしまい、

「そ、そう?」

というしかなかった。

「何で?」
「え?何でって言われても・・・」
「お前それ200八乙女ポイントだぞ(笑) 」

髙木くんが笑いながら言う。

「だから八乙女ポイントってなんだよ(笑) 」

八乙女くんも笑いながら答える。

「200八乙女ポイントって相当高いっすよ(笑) 」

有岡くんも乗っかってくる。

「だからまず八乙女ポイントの意味を教えてくれよ(笑) 」

それに答える八乙女くんも楽しそうだ。

 

微笑ましいな♪
平和でしかないや♪

 

 

 

「あ!今度みんなで遊園地いきません?」

突然、有岡くんが言いだす。
それに髙木くんが

「遊園地?行きたいの?」

というと

「はい!」

有岡くん、ニッコニコの笑顔。

「しょうがねえなぁ。八乙女は?」
「うん。いーよ」
「まゆみさんは?」
「うん。大丈夫」

本当は絶叫マシンが苦手だけど、乗らなきゃいいしね。

「じゃ行くか!」
「はい!!!」

髙木くんの言葉に有岡くんの笑顔がさく裂。
遊園地が好きなんて、本当イメージ通り過ぎてもう・・・(笑)

 

 

そんな訳で、4人の都合が合うときにみんなで遊園地に行くことになったのだった。

 

 

 

 

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