あなたは「もちろんです」を選びました

今後、仕事でお世話になるし、断る理由もない・・・

 

あなた「もちろんです」

山田「良かった!」

 

山田さんは至極嬉しそうです。

国宝級の顔面を持つ山田さんが嬉しそうにしてくれたことで、あなたの心も緩みます。

 

 

 

その後。

2人の会話は途切れることなく盛り上がり、あなたの心も少しだけ軽くなってきました。

 

山田「そうだ!今からカラオケ行きません?」

あなた「今から!?」

山田「はい!・・・あ、ご都合悪いですか?」

あなた「あ・・・いえ、大丈夫です」

山田「やった!じゃ、行きましょ♪」

 

気晴らしもしたかったあなたにとって、少し強引な山田さんのお誘いはむしろありがたくも感じます。

さっき見た”切ない光景”のことは早く忘れたかったのです。

あなたは、今、山田さんと過ごす時間を大切にしようと決意し、店を出ました。

 

 

すると。

何と、先ほど見かけた片思いの中の彼と知らない女性にバッタリ出くわしてしまったのです。

 

あなた「!?」

 

驚きすぎて、一瞬言葉を失いましたが、あなたは気持ちを切り替えて彼にこう言います。

 

あなた「お疲れ様です」

片思い中の彼「・・・お疲れ様です」

 

片思い中の彼はあなたにそう言った後、山田さんの姿を見つけ、一瞬驚いた顔をしましたが、山田さんに頭を下げます。

山田さんも彼に頭を下げると、行きましょうとばかりにあなたを促し歩き出しました。

 

 

 

2度も見てしまうなんて・・・

あなたの心は再びざわつきます。

正直、気晴らしどころの騒ぎではなくなってきました。

 

 

 

 

カラオケ店に着くと山田さんは「僕から歌わせてもらってもいいですか?」と言い、あなたが頷くと嬉しそうに1曲選んで再生します。

 

それは「愛のかたまり」という曲でした。

山田さんの甘い歌声が曲と非常にマッチしていて、あなたは聞きほれてしまいます。

 

 

 

しかし。

曲を聞けば聞くほど、先ほど見た”切ない光景”が蘇ってもくるのです。

あなたは堪えきれずに涙を流してしまいました。

 

山田「大丈夫ですか?」

 

山田さんが歌うのをやめて、心配そうにあなたを見ています。

 

あなた「あ、すみません💦大丈夫なので歌ってください💦」

山田「じゃあ・・・俺歌うんで、好きなだけ泣いてください」

あなた「え・・・」

山田「泣きたいときには泣いていいんですよ。無理に強くいる必要なんてないんです」

あなた「・・・!」

 

山田さんの口から意外な言葉が出て、あなたはとても驚きます。

すると、山田さんから種明かしとばかりに更に言葉が出てきたのです。

 

山田「実は、カフェであなたを見かけた時、何か泣きたそうな顔をしてるように見えて。もしかして泣きたいんじゃないかなって思って声をかけたんです。」

あなた「え・・・」

山田「カラオケに誘ったのも、泣いてる姿を人に見られたくないんじゃないかなって思ったからで・・・」

あなた「・・・!」

山田「俺、歌ってるんで、俺のことは気にせず、好きなだけ泣いてください」

 

山田さんの優しい心遣いに、あなたの涙腺は崩壊します。

 

 

なんていい人なんでしょう。

本当に、

なんていい人なんでしょう。

 

 

あなたは山田さんのことを気にするのをやめて、自分の心が落ち着くまで涙を流すことにしました。

 

 

 

 

 

 

どのぐらい時間が経ったのでしょうか。

山田さんは何も聞くことなく歌い続けてくれ、あなたはそんな山田さんの優しさに甘えつつも自分と向き合い、涙を流したことにより、ようやく落ち着くことができました。

 

 

落ち着いたことで、あなたの中に自分の気持ちを山田さんに話そうという気持ちが芽生えてきます。

 

あなたは山田さんにさっきバッタリ会ったのは片思い中の彼で、ひどく動揺してしまったこと。

自分でもどうしていいのかわからなくなってしまったことなどを話します。

 

山田さんは優しく話を聞き、全てを受け止めてくれました。

山田さんの優しさにあなたは救われたのです。

 

 

 

その後。山田さんはあなたを家まで送り届けてくれました。

 

 

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