妄想小説Walk第61話

お風呂で汗を流した後私は、ともさん、あやかさん、ちよこさんとともにロビーへ。

そこにはなぜか伊野尾さんの姿があった。

 

「え・・・慧ちゃん・・・?」

 

あやかさんが驚いた様子で伊野尾さんの元へ駆け寄る。

 

「どうしたの?」

「お前が今日ジムに寄って帰るって言ってたから。夜、女の子が一人で歩くのは危ないと思って来てみたんだけど・・・友達と一緒なんだったら来るんじゃなかったな・・・」

 

伊野尾さんはそういうとバツが悪そうな顔をして下を向く。

そんな伊野尾さんの姿を見てあやかさんは相当嬉しかったのか

 

「もう・・・慧ちゃん!愛してる!!」

 

と満面の笑みだ。

本当、素直でかわいい。

 

 

 

「・・・帰る」

 

照れ隠しなのか、伊野尾さんはそう言って歩き出す。

 

「あ、待って!」

 

あやかさんはそう言うととっさに伊野尾さんの腕をつかんで伊野尾さんを止めた状態で振り向き、私たちに向かって

 

「ごめん先に帰るね!またね!」

 

と申し訳なさそうに言った。

そして、私たちが笑顔で見送る中、2人で歩いて去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいなぁあやちゃん・・・」

 

伊野尾さんとあやかさんの姿が見えなくなると、本当にうらやましかったのかともさんがそうつぶやいた。

 

その時。

いつの間にいたのか、

 

「ともちゃん」

 

と、知念さんがともさんを呼んだ。

 

「知念くん♪」

 

やっぱりともさんの「知念くん」には愛が溢れている。

 

「ごめんお待たせ。・・・あれ?あやちゃんは?」

「伊野尾さんが迎えに来てて、一緒に帰っちゃった」

「そうなんだ」

 

普通のやりとりなんだけど、何だか微笑ましく見える。

やっぱり、知念さんもともさんの事、好きなんだと思うんだけどな・・・

 

「じゃあともちゃんと2人っきりになれるね♪」

「!!」

 

出た。小悪魔。

 

知念さんのスーパーアイドルな笑顔にともさんもメロンメロンだ。

 

「今日はお肉食べたいな」

 

出た。食べたいアピール!!

ここはひとつ!

はっきりさせときましょう!

 

 

 

「知念さん、お久しぶりです」

 

ちょっと勇気を出して私は知念さんに話しかけてみる。

 

「わ!まゆみさんいたんだ!」

 

え、気づいてなかったんだ(笑)

 

「すみません、いました(笑)」

「ごめんね、気づかなくて・・・」

「いえいえ、大丈夫です(笑)」

 

それぐらいともさんしか見えてないっていう事だよね(笑)

 

「知念さん、ともさんと一緒にご飯が食べたいんですよね?お肉が食べられれば誰でもいいって訳じゃなくて」

「うん。僕、ともちゃんと2人でお肉が食べたい」

 

そんな雑な聞き方をする私に知念さんは笑顔でそういう。

・・・可愛い。

 

「ですよね♪行ってらっしゃい♪」

「行ってきます♪」

 

知念さんは嬉しそうにそう言うと「ともちゃん、行こ♪」とそっとともさんの背中を押す。

ともさんはそんな知念さんに促されて歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの2人ももうすぐ付き合うな・・・」

 

知念さんとともさんのやりとりを見ていたちよこさんがそうつぶやく。

 

「そうだよね?」

「うん。間違いない」

「あれ、ちよこ?」

 

ちよこさんが確信をもってつぶやいた時、髙木くんが現れた。

 

「来てたんだ」

「うん。まゆみさんと遭遇したよ」

「マジで!すげー!!ウケるんだけど!!」

 

大興奮の髙木くん(笑)

に対して。

 

「え、誰?」

 

八乙女くんが私の所に来てこそっと聞いてくる(笑)

 

「髙木くんの彼女のちよこさん」

「え!?髙木彼女いたの!?」

 

ここにも知らない人がいた(笑)

 

「うん。いたの(笑)」

 

そんな八乙女くんを見て髙木くんは笑ってる。

 

「初めまして、ちよこです」

「あ、初めまして八乙女です」

 

ペコペコ頭を下げる八乙女くん(笑)

なんか可愛い(笑)

 

 

「あ、まゆみさん、有岡なんだけどさ。何か電話がかかってきて、慌てて先に帰っちゃったんだよね」

「あ、そうなんだ・・・」

 

髙木くんの言葉に気にしてない素振りで私はそう言った・・・つもりだったが。

 

「そんな寂しがるなよ」

「えっ」

 

やっぱり髙木くんにはバレる。

 

「そりゃ寂しいよね」

「えっ」

 

ちよこさんにもか。

 

「そんな寂しがらなくてもまた会社で会えるじゃん」

 

八乙女くんは・・・よくわからない(笑)

 

「うん、そうだね(笑) ありがとう(笑)」

「じゃあ帰るか」

「うん(笑)」

 

私たちはそういうと駅に向かって歩き始めた。

 

 

 

 

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