妄想小説Walk第55話

エースコーポレーションとの取引についてのプレゼンも無事終わり、私は今、部長に呼び出されている。

 

私がやれることは全てやったからきっと大丈夫だとは思うけど・・・やっぱりドキドキする。

 

 

 

 

 

「エースコーポレーションと取引することになった」

「はい」

 

部長の言葉に思わずガッツポーズな私。

ただ、顔には出してない・・・つもり。

 

「担当はお前だ」

「はい」

 

そこも山田さんの意見が尊重されてる。

 

「気を引き締めて頑張れ」

「はい。失礼します」

 

部長の激励に私は頭を下げると自分の席に戻った。

 

 

 

 

 

そっか。

概ね山田さんの意向に沿うことが出来たんじゃないかな。

よかった。

大きなプロジェクトになるからプレッシャーだけど、頑張ろう。

 

 

 

 

私が静かに決意をしたところに

 

「決まった?」

 

と声をかけてくる人が。

髙木くんだ。

 

エースコーポレーションと取引の事だろうな。

そう思った私は「うん」とうなずく。

 

「やったじゃん。おめでと」

「ありがと」

 

髙木くんの優しい笑顔を見て、思わず私も笑顔になる。

 

「今日飲みに行くか」

「いいね」

「お祝いだから有岡も連れてってやるか(笑)」

 

髙木くんはたくらみ顔でそういうと「おーい、ありおかー」と有岡くんを呼びつける。

有岡くんはそれに気づくと、ミーアキャットのように一瞬背筋を伸ばし、足早にこちらにやってきた。

 

「呼びました?」

 

かわいいなおい

 

「呼んだ。今日飲みに行かね?」

「行きます!え、髙木さんとふたり?」

「ちげーよ。まゆみさんと3人だよ。行きたいんだろ?」

「行きたい!」

「連れてってやるよ(笑)」

「ありがとうございます!!」

 

そう叫び、頭を下げる有岡くん。

本当、可愛い(笑)

 

「じゃあとでな」

「はい!」

 

有岡くんはそう言うと仕事に戻っていった。

何だか嬉しそうで、本当微笑ましい。

 

「あいつ、可愛いな」

「そうだね」

「へー可愛いんだ」

 

思わずうなずいてしまった私をからかうようにそう言う髙木くん。

 

「・・・うん、可愛い!」

 

そんな髙木くんに負けないように私は強気でそういう。

すると髙木くんは子供みたいににっこー!と笑うと

 

「じゃあとでな」

 

と言い去っていった。

 

 

 

 

・・・もう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕事が終わってから、髙木くん、有岡くんとの待ち合わせ場所である玄関前に向かおうとしたら、ものすごく必死な表情で仕事をしている圭人くんに遭遇した。

 

「圭人くん、お疲れ!」

「まゆみさん!お疲れ様です!」

 

天使のような笑顔だけど汗だくだ(笑)

 

「今日はみゆきちゃんはいないの?」

 

周りを見渡しても圭人くんしか見当たらない。

 

「そうなんです。急性胃炎でお休みなんです」

「急性胃炎!?大丈夫なの!?」

「何か、俺と付き合い始めてから綺麗になりたかったみたいで、コラーゲンドリンクとすっぽんサプリを飲み始めたら急性胃炎になっちゃったみたいで」

「そうなんだ」

「可愛いですよね」

 

圭人くんは嬉しそうにそう言ったと思ったら急に眉毛をハの字にして

 

「でも心配だから早く仕事を終わらせて会いに行きたいのに、全然終わらなくてこんな時間に」

 

という。

 

・・・可愛いな(笑)

 

「やっぱり俺にはみゆきがいないとダメみたいです」

 

と思ってたら、ちゃっかりのろけられた(笑)

 

「そっか(笑) 仕事の邪魔してごめんね!頑張って!じゃあね!」

「はい!」

 

私の言葉に圭人くんは笑顔でそういうとまた眉毛をハの字にして仕事に戻っていった。

 

みゆきちゃん、圭人くんとうまくいってるみたいでよかった♪

私も髙木くんと有岡くんの所に行かなくちゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?髙木さん彼女いるの!?」

 

私は今、髙木くん、有岡くんと一緒にこじゃれた小料理屋さんの個室にいる。

その個室内に響き渡る有岡くんの声。

 

「いるよ」

「俺、髙木さんはまゆみさんの事好きなんだと思ってた」

「え!?」

 

有岡くん!?

 

「うん。好きだよ」

「は!?」

 

髙木くんの言葉に更に驚く私。

な、何を言ってるの髙木くん!?

 

「まゆみさんは俺の大事な親友だから」

 

た、髙木くん・・・

 

「有岡」

「はい」

「こいつ、本当いいやつだよ」

「・・・うん。知ってる」

「知ってた?ならいいけど」

 

有岡くんの言葉に髙木くんはにこやかにそう言うと

 

「かんぱーい」

 

といって私と有岡くんのグラスに自分のグラスを重ね合わせた。

 

 

 

 

・・・髙木くん・・・

 

なんていい人なんだろう・・・

 

大事な親友とか嬉しすぎる・・・

 

 

私の事、さらっと有岡くんにアピールしてくれたのは恥ずかしいけど嬉しかった。

私も”大事な親友”の事、もっともっと大事にしないとね。

 

 

 

 

 

「俺、髙木先輩見たい」

 

突然、有岡くんが言いだす。

 

「え?目の前にいるよ?」

「そうじゃなくて、イケボのやつ」

 

イケボのやつって(笑)

 

「ああ、雄也ね(笑) そう言えば最近雄也に会ってないな・・・」

 

私がそう言ってちらっと髙木くんを見ると、髙木くんはものすっごいセクシーな表情で私に顔をよせ、一言。

 

「もっと動けよ・・・」

「な!」

 

驚きとドキドキで何も言えなくなる私。

 

え。何。どういうこと?

え。なに?

 

「髙木さん、まゆみさん困ってんじゃん」

「刺激が強すぎたかな」

「・・・」

 

どうリアクションしていいのかわからない。

 

「3人で飲むのも楽しいな」

 

あ。ごまかした。

髙木くんごまかした。

 

「でしょ?たまには俺も呼んでね」

 

有岡くんは普通。

 

「考えとく」

「おい」

 

何はともあれ、髙木くんも有岡くんもすごく楽しそうだ。

やっぱりみんなが笑顔でいるのが一番だな。

 

 

 

 

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