妄想小説Walk第22話
ふと、時計を見ると定時を過ぎていた。
でも、ある程度仕事を終わらせておきたかったので私は残業することにした。
そんなとき。
「まゆみさん、残業?」
と髙木くんが声をかけてきた。
「うん。もうちょっと終わらせておきたくてさ」
「そうなんだ。がんばるね」
「明日休みだしねー」
明日が休みだって思うと結構頑張れるよね。
「あとどれぐらい?」
髙木くんはそう言って私の手元をのぞきこむ。
そして。
「うわ。結構あるじゃん。全部やる気?」
と渋い顔(笑)
「いや、半分ぐらいはやっとこうかと」
「てかそれ有岡の仕事じゃね?」
「う、うん」
少しでも有岡くんの負担を減らしたかった。
病み上がりの仕事は少しでも少ない方がいい。
やっぱり髙木くんには何でもばれてしまうんだな・・・
「お前、いいやつだな」
「いやいや、病み上がりに大量の仕事は酷なんじゃないかって思っただけだよ 」
「じゃ手伝ってやるよ」
髙木くんはそう言って私の隣の席に座る。
「え?いいの?」
「俺も明日休みだし」
「ありがとう♪ 」
やっぱり髙木くんは優しい。
「その代わり今日飲みに行こうぜ。お前のおごりで」
「はい!喜んで!」
もちろん、何でもおごらせていただきますともーーー!!
「よっしゃ!じゃあとっとと終わらせようぜ!」
「あいあいさー!」
私たちは無駄にテンションを上げて仕事に取り組んだ。
一時間後。
目標だった半分ぐらいを終わらせることが出来た時。
「これ以上やると有岡を甘やかすことになるからやめようぜ(笑) 」
笑いながら髙木くんが言った。
「そうだね(笑) それにしてもすごい早く終わったよ!髙木くんのおかげだよ!本当ありがとう!!」
「いいから早く飲みに行こうぜ。腹減ったーーー」
髙木くんはもう片付け終わっている。
早!(笑)
「だよね(笑) ごめんごめん(笑) すぐ片付けるからもうちょっと待ってて(笑) 」
私はそういうと机の上を慌てて片付けた。
「かんぱーい!」
注文していたビールが運ばれて来た途端、髙木くんはそう言って乾杯しグビグビとおいしそうにビールを飲み干した。
「うめー!!おかわり!」
「はいはい(笑) 」
私はすぐに店員さんにビールのおかわりを注文。
それにしても。
「おいしそうに飲み干すね(笑) そんなにお腹空いてたの?」
「めっちゃ空いてた(笑) まゆみさんに声かけた時から空いてた(笑) 」
「そうなんだ!それなのに手伝ってくれたんだ!なんていいやつなの髙木くん」
「でしょ?だから今日は何でもしゃべってよ」
「・・・え?」
なに。ちょっと怖いんだけど。
「私、何かしましたっけ・・・・?」
そんな記憶は全くないけれど、とりあえず聞いてみる。
「そうじゃねーよ(笑) 有岡の事だよ(笑) 彼女いるかどうか聞いたか?」
あ、有岡くんの事か!
「聞いた!いないって!」
思わず顔がにやけちゃう(笑)
ちょっと恥ずかしい(笑)
「お!チャンスじゃん!」
意外に髙木くんがテンション上がってる(笑)
「え。そうかな」
嬉しいんだけど何か照れちゃうな・・・
というか。
「私、伊野尾さんの事推されてるから可能性低いかも」
この事実を忘れないようにしておきたい。
「まだわかんないじゃん」
「うん。わかんないけど」
あまり期待はしないようにしておきたいんだよね。
調子に乗らないためにも。
「ねぇ、あれから有岡の家には行ってないの?」
ニヤニヤしながら言う髙木くん。
え、えっと・・・
「け、今朝行きました・・・」
「え!?今朝!?何で!?・・・お前まさか!?朝帰り!?」
「違う違う(笑) 」
髙木くんの興奮の度合いがおかしい(笑)
「昨日、髙木くんから預かった書類持って行ったじゃん」
「うん」
「その時ご飯ちゃんと食べれてるかどうか聞いたら、コンビニ弁当ばっかで飽きたって言われて」
「うん」
「ご飯作ってほしいけど、家に上がってもらうとインフルうつしちゃうかもしれないから弁当作ってって言われて。」
「え!?マジで!?あいつそんなこと言うの!?」
髙木くん、全身全霊を込めて驚く。
だよね(笑) 私も驚いたもんな(笑)
あの時は彼女いるかどうか聞かなきゃいけないって思ってたから必死過ぎて気づかなかったけど(笑)
「で?」
「今朝お弁当作って持って行った」
「スゲー!!!」
薄々気づいてはいたけど何かリアクションでかいな(笑)
「えーすごくはないでしょー」
「スゲーよ!マジかーてかお前結構つくす女なんだなー」
「えっそうなのかな? 」
何だろう。何か褒められてるみたいで嬉しい♪
「いいやつだな。きっと報われるよ」
そんなこと言われるなんて思わなかった。
・・・嬉しいな♪
「えっ本当に?ありがとう♪ 」
髙木くんの笑顔に励まされる。
・・・本当、報われるといいな。
それから私たちはいろいろな話で盛り上がって楽しい時間を過ごした。