妄想小説Walk第2話

「・・・さん・・・まゆみさん」

有岡くんの声が聞こえて私は目を覚ました。

「!?」

声のした方を向くと思ったよりも近い所に有岡くんの顔があってびっくり!
耳たぶに触れるか触れないかぐらいの所で名前を呼んでたんだΣ(゚Д゚)
驚きすぎて心臓のバクバクが止まらない。

「着いたよ!」

私の心臓にはお構いなしな有岡くん。

「・・・うん・・・あ、ごめんね、本当に寝ちゃって・・・」
「大丈夫だよ、俺が寝ててって言ったんだし」

目の前の有岡くんの笑顔にドキッとする。

「そ、そっか!そうだよね!そうだそうだ、そうだった」
「もしかして寝起きで混乱してる?」
「・・・そうかも」

君の不可思議な行動に混乱してる・・・

 

「送ります。俺の車に乗って下さい」

有岡くんはにっこり笑ってそう言った。

「・・・はい・・・」

呆然として動けない私を見て有岡くんは優しく手を差し出す。

「あ、ありがとう・・・」

2人の手が重なる。
有岡くんは私の手をつかむと軽々と私を立たせてくれた。

 

・・・ねぇ。何これ。
勘違いしちゃうやつじゃん。
意外と男らしい手してるし。
・・・やめてよ、マジで・・・

 

「あ、荷物・・・」

私は自分の荷物を持ってないことを思い出した。

「持った!」
「あ、ごめん!ありがとう!」

有岡くんが持っててくれた荷物を受け取ろうと、私は手を出す。
でも。
「いいよ、俺持ちます!」
と言われ
「あ、ありがとう・・・」
と出した手をひっこめた。

普段から優しい子だとは思ってたけど、こんな感じで優しくされると何か戸惑ってしまう・・・。

 

 

・・・・。

 

 

有岡くんの後ろを歩いているとふと背中に目がいく。

・・・うん。やっぱり広いんだ。
男の人だもんね。

 

・・・何の確認をしてるんだ私は。
寝起きで頭がおかしくなってるんだな。
気を付けよう。

 

「これです、俺の車!乗って下さい!」

ほどなくして、有岡くんが笑顔で一台の車を指しながらそう言った。

「あ、うん」

有岡くんにぴったりの可愛い車だ。

「お邪魔しまーす・・・」

 

助手席・・・
ドキドキするな・・・

 

てか私、ずっとドキドキしてる。
このままじゃ心臓止まってきっと死ぬ・・・

 

 

 

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