妄想小説Walk第15話
今日は八乙女くんと㈱帝王に仕事の打ち合わせでお邪魔している。
「今日は時間がかかると思うけど、いいものにするために頑張りましょう!」
「はい!」
薮さんの言葉に私は大きくうなずいた。
私が役に立てる事なんてそんなにはないと思うけど、微力でもお力になれるように頑張る!
「失礼します」
打ち合わせが始まって少しした頃、女性の方がコーヒーを淹れてきて下さった。
「あ、ありがとうございます」
「きえちゃん、ありがとう」
お礼を言う薮さん。
きえさんとおっしゃるのね。
そういえば。
書類にメモする姿を見て初めて気づいたんだけど。
「薮さんって左利きなんですね」
「そうなんです。左利きなんです」
薮さんに聞いたつもりだったんだけど、何故かきえさんが答える。
「きえちゃん、相変わらず薮のマネージャーみたいだね」
「えーそうですかー?」
八乙女くんの言葉にきえさんはまんざらでもなさそうだ。
てか、八乙女くんも仲いいんだ(笑)
八乙女くんのマネージャー発言を受けて薮さん。
「俺が出世したらきえちゃんには秘書になってもらおうかな」
と笑う。
「喜んで務めさせていただきます」
それに食い気味で答えるきえさん。
もうこの関係性は出来上がってる。
実現する日も近いに違いない。
「初めまして。きえと申します」
「あ、よろしくお願いします」
きえさんに名刺を差し出され、慌てて自分の名刺を渡す私。
あ、この方が事務員さん・・・
って事は薮さんがいつも事務仕事を任せっぱなしにしてるってお話されてた事務員さんってきえさんの事なんだろうな。
「薮さんの事で何かわからないことがあったらまた聞いてください」
「あ、はい」
きえさんに笑顔で言われ、私はうなずくことしかできなかった。
本当、マネージャーさんみたい(笑)
「きえちゃん、薮の事ほぼほぼ知ってるから(笑) 」
「なー。本当スゲーよ(笑) 」
のん気に笑う八乙女くんと薮さん。
そんなこと言われたら試してみたくなる。
「え、じゃあ薮さんの血液型は?」
「A型です」
常識ですよぐらいの勢いだ(笑)
「ちなみに1990年1月31日生まれ、みずがめ座です」
これも常識なんだろうな(笑)
そんな顔してらっしゃる(笑)
「身長は?」
「178センチ」
「正解!」
「おおーーーーー!!!!!!」
あっぱれ!!!
「きえちゃん、本当すごいね! 」
八乙女くん、感心してる(笑)
「俺の事は何でもきえちゃんに聞いてよ♪ 」
笑顔の薮さん(笑)
「あ、はい(笑) 」
もはや笑うしかない私(笑)
「じゃあ私は失礼します」
頭を下げてきえさんが退室。
何かとても印象に残る方だったな(笑)
「じゃあ仕事に戻りますか!」
「はい!」
薮さんの掛け声をきっかけに私たちは気持ちを仕事モードに切り替えた。