2017 Birthday Story 有岡大貴

今日は有岡くんの誕生日。

渡せるかどうかはわからないけど、プレゼントを用意して休日出勤してみた。

 

 

 

 

 

 

「ねーねー今日何の日だと思う?」

「有岡くんの誕生日でしょ?」

「知ってたの?」

「うん、知ってたよ!おめでとう!これ、プレゼント!」

 

 

 

 

・・・的な流れでスムーズに渡せたらいいのに。と思っていたけど、そううまくはいかないもんで。

 

その流れでしかイメージトレーニングをしてなかったために、私は全然プレゼントを渡すことが出来ず。

見かねた髙木くんが

 

「有岡、今日は早く切り上げて飯食って帰ろうぜ。おごってやるから。八乙女もまゆみさんも行くだろ?」

 

と助け船を出してくれた。

そして、

 

「まゆみさんは今日は酒ナシね。有岡を送って帰って」

 

と、気の利いたことを言ってくれたおかげで、私は今、有岡くんをお家まで送り届けている所である。

 

 

「いやー!!楽しかったー!!」

 

お店でも散々みんなに誕生日を祝ってもらったのがよっぽど嬉しかったのか、有岡くんはそう言ってニコニコしてる。

 

有岡くんが笑顔でいてくれると私も嬉しい。

私は有岡くんにつられてニコニコしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから有岡くんは家の前に着くまで今日の思い出を楽しそうに話していた。

あんまりにも嬉しそうなので話をさえぎることもできず。

私は結局プレゼントを渡すタイミングを逃してしまっていた。

 

 

 

 

 

・・・いかん。

せっかく用意したんだから渡さないと。

 

私は有岡くんの家の前に車を止めると、意を決して言った。

 

「あ、有岡くん!あのね!遅くなっちゃったけど、これ、プレゼント!」

 

やっとカバンの中から取り出すことが出来たプレゼントを私は有岡くんに差し出す。

 

「誕生日、おめでとう!」

「えー!!ありがとう!開けていい?」

「うん!」

 

プレゼントは有岡くんが欲しいって言ってた数量限定のコラボTシャツにしてみた。

喜んでくれるといいんだけど・・・

 

「これ、俺が欲しかったやつ!!」

 

封を開けた途端、そう言う有岡くん。

可愛い。

 

「よく知ってるね!」

「欲しいって言ってたじゃん」

「うん、言ってた」

「もしかして持ってたりする?」

 

有岡くんの様子にちょっと嫌な予感がした私はそう聞いてみる。

すると。

 

「うん。実は。」

 

と有岡くん。

 

予感的中・・・

 

「あー・・・そうだよね・・・・ごめんかぶっちゃったね・・・」

 

・・・やっちゃった。

サプライズしたつもりが、すっごいダサいことになってしまった。

失敗しちゃったな・・・。

 

「ごめんね・・・」

「ううん!嬉しいよ!俺の欲しいもの知っててくれたもんね!あ、ちょっと待ってて」

 

有岡くんはそういうと車を降りてマンションの中に入っていった。

 

・・・何か気を使わせちゃったな・・・。

 

 

 

 

 

 

 

確かにあれだけ欲しい欲しい言ってたから買うよね。

スニーカーの方がよかったかな・・・

 

いや。どっちにしろかぶるリスクはあった!

洗い替えって事にしてもらおう!

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えていたら

 

「ごめんおまたせ」

 

有岡くんがそう言って車のドアを開けて入ってきた。

 

「ううん。どうしたの?」

「これ。プレゼントのお礼。あげる」

「えっ」

 

有岡くんがそう言って差し出してくれたのは、私があげたものと同じTシャツだった。

 

「俺が欲しかったのはまゆみさんがくれた方だから。俺が買ったやつはまゆみさんにプレゼントするよ」

「えっ何かごめん気を使わせちゃって・・・」

「ううん。お揃いだから逆に特別なものになった!あ、でも」

 

有岡くんはそう言うとはにかみながら言葉を続ける。

 

「髙木さんと八乙女さんには内緒ね。」

「・・・うん!」

 

本当、優しい・・・。

そして、照れた顔も可愛い・・・。

 

特別なものか・・・

どうしよう。

転げ落ちそうなくらい嬉しいんですけど。